ウォータートライアルとは
(以下はhttp://members.jcom.home.ne.jp/wtcj1/hp_index.htmlの抜粋)
概要:WARTERTRIALとは、水難救助犬を育てるために、ヨーロッパで生まれたスポーツです。本家ヨーロッパでは、ウォータードッグと呼ばれる3犬種『ニューファンドランド、レオンベルガー、ポルトガルウォータードッグ』で楽しまれていますが、日本やアメリカでは犬種限定はありません。泳ぐことが大好きな犬たちにとって、とっておきのスポーツ。そして、飼い主(ハンドラ−)との強い信頼関係が要求される競技です。
日本では誤解されがちですが、水難救助犬には水難救助を前提としたトレーニングと競技を行うウォータートライアル、水難捜査を行うウォーターレスキューの2種類があり、水難救助犬の実力把握と高水準の能力を維持するために競技会を開催しています。
ハンドラーの装備
ウェットスーツ等トレーニングを始めると、とても仕事熱心になるイヌがいます。それはそれでとてもよい傾向なのですが、水中でイヌがあまりにも近寄りすぎてきて、ちょっとしたミスで人間を引っかいてしまうことがあります。イヌの鋭い爪から身を守ってくれますし、水中に何時間もつかって訓練をする際の防寒としての役目も果 してくれます。水中では陸上の25倍のスピードで体温が奪われます。マリンブーツ等、マリンブーツを履いて、足を保護してください。場所によっては、水底がゴツゴツして怪我をすることもあります。また、イヌが足の上をよじ登ってくることもあります。救命胴衣ハンドラー用トレーニングの最中に自分がおばれて救助される事になるかも知れません。ご自身の安全確保の為に 必ず着用してください。ベストをつける、ということがイヌにとって作業始まりのサインにもなるし、何よりも生命安全への安い保険とも言えます。
愛犬用ライフベスト愛犬用ライフベストは、練習時のみに許されています。
現在スウェーデンでは競技会時の愛犬へのライフベスト着用は認められておりません。クラブのルールはスウェーデンのルールに基づいているため競技中のライフベストの使用は禁止です。
トレーニング用具
ロープ・・・ロープはナイロン製で水に浮くものを使用してください。ロープの太さ、長さは様々なタイプを用意しましょう。以下のロープが必要です。
*両端に結び目を作った、30cmロープ。レトリーブの練習とくわえて運ぶ練習の時に使います。
*3mロープ。ボートを牽引するときに使います。水タンクや浮輪に結び付けて使います。
*25mロープ。ロープを運ぶ演習の時に使います。また、距離をはかる等、持っていて便利です。 水を含んで沈んだり、結び目がすぐできてしまうようなロープ、からみやすいロープは使わないようにして下さい。何かにからまってしまうと、犬が運んでいる時にロープが抵抗する為、ひっぱりにくくさせてしまいます。
レトリーブ用品
ダンベル・・・ダンベルの両端の球の直径が小さ過ぎると、水上で大変見つけにくくなるので、適当な大きさのものを選んで下さい。
沈澱物品・・・ゴム製の球がついたものが、一番手に入りやすいものだと思います。水底の色とコントラストをなし、イヌにとって見 えやすい色のものを使用しましょう。競技会では重量 のある、10cm×10cmx10cmの物品を使います。沈んだ時に、底から10cmの高さに物品が見えるようなものであれば結構です。練習用としてテニスボールに切れ目を入れて、中に砂を詰めて、あとでテープをぐるぐる巻いて物品を作ることも可能です。その際はテニスボールの布は取り去ってください。
その他レトリーブ用品
プラスチック製のパドル・・・競技会リーダーの好みもありますが、通 常パドルは半分になった部位のみを使います。パドルはスクリューを取って一番上の柄の部分を外してしまいましょう。そしてへらの部分のみを使います。
救命胴衣・・・救命胴衣を運ぶトレーニングは水上のみならず陸上訓練のさいにもよいでしょう。胴衣から垂れ下がったバンドなどは、イヌが運んでいるとき足で踏み付けたり、足にからまったりしてしまうかもしれません。ベルトが垂れ下がらなように、胴衣は紐などで巻いておいて、コンパクトにして練習に使いましょう。イヌとの練習にいったん使った胴衣は、イヌの鋭い歯によってベストに小さな穴があいてしまっているおそれがあります。ベストをレトリービング物品としてしばらく使用したら、そのベストのベストとしての安全機能がなくなるとみなしてください。
ボート用の浮くクッション・・・ボート用の浮くクッションは競技会でのレトリービング物品として使われることがあります。競技会に備え、または物 品の一つとしてトレーニングに使うとよいでしょう。ハンドラーの指定する物品をイヌがいつでも回収できるよう訓練してください。
ボート・・・ボートにアクセスがあれば、それにこしたことはありませんが、ほとんどの種目はボートなしでも訓練ができるものです。ボートのかわりにエアマットレス、サーフィンボード、または空気をいれて膨らますビーチボートで代用してみるのもよいでしょう。ボートを使用するときはゴム製のフロアマットを敷いて、イヌが滑って転ぶのを防ぎます。イヌの脚がどこかにはさまれたり、引っ掛かったりしないように、あるいは先の鋭いものでケガなどをさせないように、ボート上に置いてあるものには注意しましょう。
水タンク・・・水タンクは水中作業訓練の必須アイテムです。水難訓練ではロープと水タンクが最も大事な訓練用具です。水タンクを手に入れるには、キャンピング用品などを売っている店などに行ってみてください。石油をいれるタンクでも結構です。そしてそれに水を満たしたものが、牽引に丁度よいでしょう。もし10l用のタンクがあれば、水を入れる量 を調整して、重さを変えることもできます。車のタイヤを使うのも、牽引のトレーニングとして大変有効です。イヌが掴まるところができるように、ロープをタンクまたはタイヤの周りにくくりつけます。イヌの体長よりも十分に長いロープを使ってください。短いロープを使ってしまうとイヌが走っている最中、タンクやタイヤがパカパカと空中にはねてしまい、後ろ脚にあたってしまう事があります。
桟橋・・・あるにこしたことはないけれど、アクセスに結構難しいのが桟橋です。桟橋の周りにはよく気をつけてください。イヌがダイビングした時にケガをするおそれがあります。
うき輪・・・救命用の浮輪(空気で膨らますビニール製のではなく、救命用の堅い浮輪)。もしハードタイプの浮輪の購入が難しければ、車のタイヤの中のチューブを膨らませて代用して下さい。浮輪には3mの網をくくりつけ、イヌが引っ張れるようにしてやります。
ウォータートライアルにこれからチャレンジしようとする方々へ
(ルール及び競技会内容)
■S&R(スイム&レスキュー) TEST
まず、競技の前に犬の適性を見るために、S&Rテストを行います。
トライアル出場前に義務付けられたこのテスト
☆50メートル遊泳・・・50メートルをハンドラーと一緒に泳ぐ。このとき、ハンドラーにしがみついたり、ぶつかったりしないように、一緒に泳がなければ成らない。(飼い主は、歩ける水深なので、脚側という感じ。)
☆水上から陸までの物品回収・・・ハンドラ−(人間)が陸から投げた物品を回収してくる。いわゆる『レトリーブ』。このテストではコマンド(命令)によって動かなくてもいいが、トライアルの事を考えると、できるだけコマンド で取りに行くようにしたい。ジャッジの指示でハンドラーがイヌを座らせて待たせたまま物品を投下。その後ジャッジの指示で、イヌを送り出す。
☆水上のハンドラー(人)の回収・・・イヌは岸で待たせた状態で、ハンドラーはイヌの泳げる深さまで行って、イヌを呼び寄せ、イヌに引っ張って貰い(イヌの身体を掴み)岸までたどり着く事。ハンドラーはこの際に、イヌを助けてはならない、泳ぐのはイヌのみ。
このテストのポイントは、犬が落ち着いて泳ぐことができるか、攻撃的ではないかを観察するもです。このS&Rテストをクリアすれば、競技会に参加することが出来ます。参加資格は、生後10カ月以上の犬であること。
S&Rテストに合格したら、いよいよ競技にトライ。
競技内容
■OPENCLASS・・・いよいよトライアルのスタート。トライアルの競技種目は5種目+全体の印象(積極性、協力性、集中力)。出場者は会場で競技リーダーと審査員によって、どんな競技をするのか、どんな用具を使っていいのか等の説明を受ける。ちなみに、出場の順番はくじ引き。1頭の犬が全競技を終了してから、2頭目の競技を開始する。
☆シングルレトリーブ・・・ハンドラ−が10メートルほど沖に投げた物品を回収する。ハンドラ−が物を投げた後で犬に対してコマンドあるいはハンドシグナルを出し、その合図で犬が水に入る。回収した物をハンドラーに渡して競技終了。この時、犬はハンドラーに物を渡しても良い。
☆サーチレトリーブ(物品の探知)・・・シングルレトリーブより距離が長くなり、15メートル沖合いの物品(水に浮く物品:パドルか救命胴衣、あるいはボート用の座布団等)を回収する。犬は、誰の助けも借りずに物品の位 置を突き止め、くわえてハンドラーの元へ運ばなければなりません。競技リーダーが指示を出してから、ハンドラーは物品を離すコマンドを出します。(物品を投下するときに、ハンドラーおよびイヌは見てはならない。)
失格
■犬が競技の遂行を全て、あるいは部分的に拒否したとき
■ハンドラ−が物理的に犬に援助を行った時
■ハンドラ−が水場に出て行ったとき(水場に足を踏み入れてはならない)
■水場で物品が口から離され、それを犬がくわえなおさなかたったとき
☆ロープ運び・・・競技リーダーの開始の合図と同時にタイムの測定がスタート。犬は1分以内にロープをくわえ、水場に出なければなりません。犬に長さ25メートルのロープをくわえさせ、沖合い15メートルのところにいる溺者に向って運ばせます。犬が溺者にロープを渡すことが出来たら競技終了。その後、溺者と犬は岸まで一緒に泳ぐ。ただし、そのロープを使って、溺者を牽引することができれば、好ましいパフォーマンスとして評価されます。
失格
■犬が競技の遂行を拒否したとき
■タイムオーバーしたとき
☆ボート牽引・・・犬はアシスタントと岸に待機。ハンドラーはボートに乗って15メートルの沖合いに出ます。ボートの準備が出来たら、コマンドで犬はボートに向う。犬がボートのそばまでやってきたら、ハンドラーは犬に3メートルのロープの端をくわえさせ、ボートを牽引させます。競技はボートが水底に触れたとき、または上陸できる距離までしたところで終了です。ハンドラーは犬に1分以内に牽引を開始させます。
失格
■犬が競技の遂行を拒否したとき
■タイムオーバーしたとき
☆ハンドラ−と遊泳 ・・・ハンドラーと一緒に泳ぐ種目。『ツケ』の姿勢から、ハンドラーと一緒に水中の中に入り、そのまま10メートルほど泳ぐ。競技リーダーの『戻って』の合図で折り返し、帰りは犬がハンドラーを牽引する。犬の足がつく深さまで泳いできたら、ハンドラーは犬から手を離していい。
失格
■犬が競技の遂行を拒否したとき
■タイムオーバーしたとき
■犬が牽引している間、ハンドラ−が泳いだとき
■EXPERTCLASS・・オープンクラスの上のクラスです。犬が18カ月以上で、オープンクラスの基準点に達していれば、受験することが出来ます。スウェーデンでは基準点に達すると証明書が発行され、この証明書を3つ獲得するとウォータートライアル・チャンピオンのタイトルが与えられる。
☆グループでのフセ・・・水場から5メートルのところで、ハンドラーのコマンドに合わせ『フセ』をして待つ。このとき、競技に出場する犬たちは、みんな一緒にフセて待ちます。おのおのの競技者との距離は5メートルの間隔です。この待っている間、ハンドラーは競技リーダーから本日の競技の説明を受け、説明が終了してからハンドラーは犬の元へ戻ります。この間、約3分程度。戻ってから『スワレ』のコマンドを与え、犬が座ったところで競技終了。
失格
■犬が競技の遂行を全て、あるいは部分的に拒否したとき
■犬が身体を起こし、所定の位置を犬のからだ、2体分程の距離で離れたとき
☆桟橋からのレトリービング・・・桟橋から飛び込んで物品を回収します。回収した物品は、ハンドラーの左側について『ツケ』の状態で渡さなければならない。物品の受け渡しは犬が拒否せずにスムーズに行われること。ただし、競技リーダーの合図で犬から物品をもらいます。
☆ロープ運びからボートの牽引・・・コマンドで犬はロープをくわえ、沖合い15メートルのところにいるボートまでロープを届けます。犬がボートのそばまでやってきたら、ボートの上にいる人はロープの端をつかむか、ボートにくくりつけ、そのまま犬にボートを牽引させます。
失格
■犬が競技の遂行を拒否したとき
■タイムオーバーしたとき
■ハンドラ−が水場に出て行ったとき
☆人への浮き輪運びから牽引・・・3メートルのロープをくくりつけた浮き輪のロープを犬にくわえさせる。沖合い15メートルのところに15メートル間隔をあけ、溺者役の人にいてもらい、競技リーダーの指示した方の人へ向って浮き輪を届けに行く。溺者がロープをつかんだらそのまま牽引して岸まで引っ張ってくる。そこでハンドラ−が溺者と犬を迎えます。
失格
■犬が競技の遂行を拒否したとき
■犬が指示したのと違う溺者を運んだとき
■競技中にハンドラーに物理的な援助を与えられたとき
☆アンダーウォーターレトレービング ・・・犬のお腹が水につく位の深さまで、犬とハンドラーは沖まで出ます。その位 置で、ハンドラーは水に沈む物を水中に落とし、犬に回収させる。犬が水中に没した物品を口でくわえて、ハンドラーに渡したら競技終了。ハンドラーは少なくとも犬から1メートル先に物品を投げます。3分以内に3回のレトリービングを行うチャンスが与えられます。
失格
■タイムオーバーしたとき、あるいは3回の試みに失敗してしまった場合。
■競技中にハンドラーに物理的な援助を与えられたとき
☆インストラクションレトレービング/方向指示を伴うレトレービング・・・沖合い15メートルの位置に2つの同じ物品を15メートルの間隔で浮かせます。競技リーダーが指示をする方向の物品を順番で、犬は物品を回収してくる。
失格
■犬が競技の遂行を拒否したとき
■犬が指示したのと違う物品を運んだとき
■競技中にハンドラーに物理的な援助を与えられたとき
■競技中にハンドラ−が水辺へ出たとき
☆救命・・・犬、ハンドラ−、溺者の役、ボートを漕ぐ人がボートに乗り、沖に15メートルほど出ている状態からのスタートです。溺者が水に入り、位 置についたら、ハンドラーは犬が水の中へ飛び込むようにコマンドを出します。溺者を見つけ、ボートあるいは一番近くの陸まで牽引します。牽引中は溺者は泳いではいけません。競技は溺者がボートについたとき、あるいは犬の脚がつく程の浅瀬まで牽引されたところで終了です。
失格
■犬が競技の遂行を拒否したとき
■溺者が水に入る前に犬が飛び込んだとき
■溺者が牽引中に泳いだとき
■ハンドラ−が牽引中に犬と一緒に泳いだとき
競技に関する問い合わせは、ネット検索して下さい。
〜後書き〜
飼い主と愛犬ともスポーツではありますが、オビディエンス(服従心)がしっかり備わっていなければなりません。
作業意欲をしっかり作ってあげることが必要です。
餌を使うだけの誘導及び、多すぎるコマンド大きな声、大げさなボディアクションでは、
正しい理解そして、犬が考えて動けるようには成らないのです。
何事も愛犬の服従心(飼い主を喜ばせたい)が基本となります。真剣に取り組みましょう。
愛犬との絆(服従心)作りが基本です。決して取引・誘導で犬を動かしてはならないと思う。